闇がくれたもの
序
ざあ……
闇の中降りしきる、強い雨。
身体中から、熱が逃げていくのが解った。
でも、もうどうしようも出来ないことも解っていた。
例え、出来ていたとしても―――その気力すら、湧かなかったかもしれない。
俺の身体を抱える、見慣れた腕。
もう、この腕の持ち主が何者であろうが、何をしていたかはどうでもよかった。
ただこの人物は、俺にあるものをくれたから。
誰が何と言おうが構わない。
ただ俺は、信じていたかった。
総てが偽りだとしても、ここにいたかった。
なあ、知ってるか?
今、この瞬間も―――同じものを、もらっているんだ……
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