異人の踊り手





 僅かに身に纏う白と、その生まれながらにしての褐色は、どちらが異端なのか。

 しなやかで、野生的でありながらその線は粗野ではない。
 踊り込み鍛え上げたであろう筋肉は、それも一つの鑑賞に値する。
 余分なものの無い体躯が、静かな歩みを止め、一様に肌の白い観客の視線をそれに集めた。



 目元の強い、大きな瞳が蠱惑的だ。
 暇と贅を持て余す客達の面々を見回し、どこか挑発的に大きめの唇が微笑む。
 舞が始まれば、たちまちそこは異国の舞台。

 異国の太鼓と、異国の笛の音と、異人の踊り手。



 最後に身に付けていた黄金色の腕輪が涼やかな音を立てた時、客は一時の深い満足を覚え手の平を打ち合わせた。









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