天使の翼





 きっと君の背中には、天使の翼がある。



 それはどこまでも真っ白で、無垢で、清らかで、柔らかくて、軽いんだ。
 それはそのまま君のことだから、きっと君はそのまま何処かへと行ってしまうのだろうね。

 僕に、君を縛り付ける力と権利は無いから。



 だからせめて、僕は君に望もう―――たった一枚の、羽を。



 それがあれば、僕の心はきっと軽くなる。
 それがあれば、僕の心はきっと綺麗になる。

 君みたいに。



 それを胸に抱いて、君の夢を見ることが出来るかもしれない。



 でも、その羽も何時かは風に攫われてしまうかもしれない。
 ああ、その時に僕の中の君がどうか消えてしまいませんように。



 君のことを、何時までも、強く、優しく、そして……綺麗なままで、想えますように。









戻る