歌姫




 さあ、お聞きなさい、私の歌を。



 酒なんかじゃ酔えないなんて仰る其処の貴方も。

 今宵は、私の声で酔いなさい。



 響きは絶対。言葉は無意味。高みは低きも制す。

 私の声は薫るのよ。だから、皆が寄って来るの。

 だからって近くで嗅ぐことは許さない。

 そんな事しなくたって、私の声は何処までも届くの。





 お聞きにならないの、私の歌を?

 じゃあ側にいらして。



 耳元で、囁いてあげる。





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